大学時代の友人と会うのに珍しく早めに着いてしまって、暇つぶしに本屋さん入ったんだけど、面出しされていた伊坂幸太郎の「砂漠」を買って読んでたら会う前からものすごいエモい気分。
暇つぶしと自己紹介も兼ねて、通ってた大学について記事にしようかと思います。
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さて、タイトルの通り僕は音楽大学をロックやポップスを取り扱う、いわゆる「ポピュラー系の専攻」で卒業してるんですが、日常でも「音大卒です」というと
「音大って実際はどんな感じなの?」
とよく質問を受けます。事実は小説よりも奇なりじゃないけどキャラの濃い友人ばっかだったなぁ。
ちなみに、みなさんは音大生の生態にどんなイメージをお持ちですか?
漫画やアニメのようなドラマッチックな日常は本当に送られているのか、とか芸術系の学生の恋愛事情って凄そうとか、1日にどのくらいの練習をしているのか…など。
とりわけこれから進路を決める高校生や受験生からすると、資料やオープンキャンパスだけでは想像しづらい部分も多いでしょうし、少しでも進路決定の際の参考にしてもらえれば幸いです。
学生や授業内容、レッスンのレベル
受験を考えてる人が気になることと言えばまずここでしょう。
音楽大学の数が少ないと言えど、各大学によっても差があるので一概には言い切れませんが、僕が通っていた学校と他音大に通っていたミュージシャン仲間の話を聞いて比べた所感を書いていきますね。
学生の演奏レベル
私大間ではそこまで大きな演奏レベルの差というのはなく(もし現役の学生が感じているのであれば隣の芝生だと思う)、どの学校においても突出している一部の人間がいて、目立つ層以外はよくいる大学生、といった感じがありました。
「何が何でもプロになりたい」「音楽しか選択肢がなかった」
というような人種だけではありませんでした。
裕福な家庭で小さい頃からピアノをやっていて進学の折に
「特にやりたいこともないし…」
とふわっと入ってきた女の子や
「教師になるのが夢で教員免許を取りたいけど、どうせ4年間も勉強するなら好きな音楽がいいと思ってここを選んだ」
といった友人Y君など、何を思い何を目指して入学してきたかは千差万別でした。
(ちなみにその友達は夢を叶えて先生をやっています。)
授業のレベル
講師は現役で業界で活躍されていたり実績を積んできた方達ばかりですし、音楽理論系などの座学の講義は理解度によってグレード分けされるので、周りが枷になることは少ないかと思います。
選択科目なども音響や環境音楽の授業があり、自分一人ではたどり着かなかったような知識もかいつまめて、為になるものも多かったな。
主科などと呼ばれる専攻楽器のレッスンは基本的に1対1でおこなわれ、シラバスがある授業とは違い(主科レッスンも一応シラバスあるにはあるけど…)かなりフレキシブルにおこなわれます。
もし学校選びで悩んでいるのであれば、第一優先事項としては師事したい先生がいる学校を選ぶ、という選び方が理想かと思います。
元も子もないことを言ってしまうと、「音楽大学の学生」という環境を生かすも殺すも自分次第なので、その点においてはどの学校を選んでも変わらないですけどね。
日常的に音楽に向き合える
当たり前っちゃ当たり前なんですが、学校にいる間は常に音楽がつきまとうようになります。
音楽の事だけ考えればいい、といった環境は後にも先にも大学に通っていた期間だけでしたし、熱量を一つのこと注ぐのに4年もの歳月をかけれらる贅沢は、その後の人生観も暖かかく照らしてくれたと感じています。
練習時間
音大生の練習量って気になりますよね?
…気にしてなくても勝手に書き進めます。笑
基本的にはどの学生でも当然のように毎日練習します。
在学中は暇があったら楽器を触っているような状態になり、学生のスケジュール感でいくと、恐らくどれだけ少なくても3時間は楽器に触れていました。
「弾かない日は何をしてるのか?」
と質問されることもありますが、お風呂入るのと同じような習慣レベルまで持ってくので、弾かない日はありません。マジで。
別に「弾かなきゃいけない!」とノルマを自身に課していた訳ではないですが、自分が好きで選んだことなので自然と、といった感じの方が近いですね。
実技のコマ数
僕が通っていたところでは一週間に
- 主科個人レッスン60分×1
- 主科グループレッスン90分×1
- 副科グループレッスン90分×1
- アンサンブル90分×2
といった具合でした。
書きながら当時の記憶が蘇ってきた…授業の予習復習だけでも結構忙しいんですよね。
1、2年次はアンサンブルが一コマ少ない分、必修を消化していかないといけないのでバイトをしながらってなると、授業に置いてかれるレベルで時間がありません。
ライブなどの演奏活動の頻度
ライブやレコーディングなど、人前に立つ演奏という意味でというと、どんな生徒であれ、カリキュラムの都合上1クールに1回は絶対に機会があることになります。
大学によっては他にもステージの運営をするコース、PAや照明などの現場系のコースを儲けている学校もあり、授業を介して学科の垣根を超え、他専攻の学生と一つのステージを作り上げていくといった事もあるので、学内だけで見てもステージに立つ機会は恵まれるはずです。
授業や実技以外のその他の時間
番外編的ですが、授業外の時間ですね。これも音大での生活では印象的だったかな。
時間割を組む際、同じ授業名でも先生によってシラバスが違い、どこを選択していくのか、というシステムは一般的な大学と変わりありません。
当然授業の隙間時間も発生してくる訳ですが、その時間に少しでも練習室に入ったり、友達を交えて講師である現役プロミュージシャンと雑談をしたりetc…
放課後空いたスタジオで学生同士セッションをして遊んだり、学内で集めたメンバーでバンド組んだり、こと日常を切り取っても学校の敷地内にいる間であれば自然と常に音楽に接する事になります。
学費と奨学金
私立の音楽大学に通うことの最大のデメリットであり悩みどころですよね。
文系の学部に通った場合と比べると、どの学校もほぼ倍近い学費と設備費がかかります。
設備費はまだわかるにしろ、学費高すぎ…
学生支援機構の奨学金を使うにしろ結局は借金なので、各学校が設けている成績優秀者に向けた減額、ないしは返還不要の奨学システムを入学前からあらかじめ調べて、積極的に狙っていくことをオススメします。
学校によって様々なので事前リサーチが必須ですが、定員数が設けられていても各コースごとにその定員が均等に割り振られていれば、十分狙って手に届く範囲だと思います。
実技の点数以外でも出席状況なども選考対象なので、例えば受験時に実力差で圧倒的に勝てない相手が多く感じても、日々の努力を怠りさえしなければ問題ないかと思います。(その努力を継続するっていうのが人間一番難しいんだけどね…)
逆をいうと在学中から学外でも活動を行う場合、どうしても授業を休まないといけない場面というのは活動の成功具合と比例して増えていくため、学生のうちからキャリアを積んでおきたいといったビジョンを描いているのであれば、学業と自身のマネジメントを両立させる必要が出てくるので、生半可な覚悟と行動量ではそういったシステムの基準値を達成するのは難しいでしょう。
学食もブルジョア仕様…?
なんてことは、まるでない。
いたって普通でした
またあのやっっっすいたぬきうどんとカレー食べたいな。
次!
恋愛関係
これもよく「やっぱすごいの?」みたいな感じで聞かれます。
芸術系の人種を性の獣みたいな目で見るのをやめろ
某カンタービレなどを読んだことがないので、何がどう凄いのかもわかりませんし比較もできませんが、コミュニティーが狭いのでそこそこにドロドロしていた印象はありますね。
ステージに携わる人たちが集まるので、見た目だけに関しては男女ともに偏差値高いかな、学生生活のせいで異性に対する美的感覚のハードルが上がった気がしなくもない…
音楽の絆は一生もの
一生と、大きく出たものの、僕もまだまだ若造なのでそこらへんは推しはかりください。
学生時代においての「出会い」の価値は人生において大きく、今でも当時と変わらない感覚でふらっと会え、音楽話に熱中でき、同じような悩みを持ち、相談し研鑽しあえる友人は何にも変えられません。
在学中も入学時からコミュニケーションの出だしは円滑だったように思います。
音大と言えどいろんな人種がいるといった旨を書きましたが、程度の差はあれどみんな一様に音楽が好き、という共通項は根底にあるんですよね。
学校という不特定多数が集まる環境において、一様に皆が共通項を持っているという特殊な状態なのもあるんでしょう。
余談ですが、まだ学校に通っている頃にお世話になっているリペアマンさんに
「今の学校に入ってよかったと思う?それとも〇〇(他大学や専門の名前)の方がよかった?」
と質問された時、返す言葉に詰まり、そりゃあまだ真っ只中なんだからわからないか、変な事聞いたね、と当時はその答えを見出すことができませんでした。
今だからこそ感じているのは、「音楽の勉強」という目標においてはどういったルートを辿って登って行っても目指すべき山頂は一緒で、「あの授業の影響でこういうミュージシャンになった、なってしまった」といった事ではないんだと思います。
つまり一言でまとめると、楽しかった。
音楽大学の魅力伝わりましたでしょうか?
大まかなくくりで言えばどの大学に行こうが大学生であり、人生のモラトリアムを教授した、という点においては僕も例に漏れません。
かけがえのない時間だった。音楽大学で過ごすキャンパスライフ、楽しいですよ。