「本買うお金があるなら音源買うかライブ行きたい!!!」
同じ事思ってる人って案外多いんじゃないかな?
活字アレルギーも相まってほとんど本を読まない学生時代を過ごした僕が言いましょう、ミュージシャンを志すのであればこそ本を読もう!
- 習っている音楽理論がどうやって成り立っているか、授業で得た知識をより俯瞰的に見れるようになる本
- 音楽を仕事にするにあたり、誰からどうやってお金をもらうかを考えられるようになる本
- ステージや創作活動(収入の有無に関わらず)がストレスに感じてきた時にヒントをくれる本
以上の3冊を紹介していくんだけど
「いや、なぜ専門性の高い大学でこういう内容の授業がなかったんや」
って僕自身が読んで思ったから、卒業後も音楽活動を続けていきたい学生さんや、既に社会に出ていているけど活動が上手く行かなくて悩んでる人へ向けて書いています。
たった3冊だし、新品で全部買ったところで8,000円でお釣りがくるので、将来も商業音楽に携わっていきたいっていう学生さんには特に読む事を強くオススメします。
過去の僕と同じような事を考えて音楽だけに投資する若いミュージシャンって多いと思うけど、未来への投資だと思ったら、ブルーノートとかビルボードで一回のライブ見るのと等価値じゃない?
憂鬱と官能を教えた学校/菊池成孔,大谷能生
1冊目からいきなり官能小説よいしょーーーーい!!!!
…ではなくて、ミュージシャンの菊地成孔/大谷能生(敬称略)著書の「バークリーメソッド」とは何なのか、について述べられている本です。
実際に行われた講義を書籍化していて、話し口調で進んでいくので活字が苦手な人でも読みやすい作りになっているはず。
楽器屋さんで取り扱っているような、いわゆる「理論書」とは別物で、理論の概要を説明してくれているので、授業やレッスンの理論の勉強と併用して読むのがオススメ。
どの大学でもジャズ/ポップス系の学科に通っていれば理論は授業でやってくれるはずだけど、取り扱い説明書的な「使い方」の部分しか教えてくれなくて
「え、そもそも何故そうなるのor感じるの?」
っていう、根幹の理由についてモヤモヤしてる人って絶対いるはずなんだよね。
そういった理論の拠り所や、母体となっている西洋音楽の発展の過程から知る事ができる内容なんだけれど、必要最低限の長さでかつ理解のできるの説明が、砕けた口調の菊地成孔さんの言葉が書かれているので、読んでて退屈することもないと思う。
お洒落なんだよね、成孔さん。
「ドミナントモーションとはトライトーンの不安定な響きが〜」
「裏コードって使ってる音が似てて響きが近いから」
とかいきなり言われても、いまいちピンとこなかった人はこの書籍を読んでみよう。
憂鬱と官能を教えた学校(上) 〈バークリー・メソッド〉によって俯瞰される20世紀 調律、調性および旋律・和声 (河出文庫) [ 菊地成孔 ] 価格:1,155円 |
憂鬱と官能を教えた学校(下) 〈バークリー・メソッド〉によって俯瞰される20世紀 旋律・和声および律動 (河出文庫) [ 菊地成孔 ] 価格:1,045円 |
マネジメント【エッセンシャル版】/ドラッガー
2冊目は「もしドラ」でお馴染み、ドラッガーのマネジメント
「活字苦手なのにこんな小難しそうな本は…」
「音楽は芸術なんだ、お金じゃねえぜ!くぁwせdrftgyふじこ🤬&$!#%」
って気持ちはわかる!わかるから帰らないで!
音楽をやる理由は人それぞれだと思うけど、おそらくこの記事を読んでくれてる人は少なくとも「誰かに聴いて欲しくて」音楽をやっていますよね?
「聴いてもらう相手を考える事」はミュージシャンにとって大切な能力の一つですが、この本では「聴いてもらう相手」を創造する段階もマネジメントであって、アーティストであっても(例え非営利団体であっても)マネジメントを必要とすると説いています。
誰にでも応用できるように書かれているので、内容がどうしても概念的で回りくどい表現が多く、翻訳の粗雑さも指摘されている事も相まって、読む側の読解力がかなり必要とされます。
(ドラッガー自身は翻訳家さんに信頼を置いているみたいなので、あえてこう訳しているのだとは思うけれど…)
かなり難解なので一度読んで頭に叩き込むよりは、一度全体を読んで概要を掴み、自分が実際に問題に直面した時に逆引き的に該当部分をさらう、という使い方が良いかと思います。
学生のうちに読んでもピンとこない事だらけだと思うけど、社会に出て経験する「マネジメント」との問題に対する、あらゆるアドバイスがこの本の中に載っています。
職業音楽家としての道を歩むかどうかに関わらず、人生において絶対に役に立ってくれる本です。
マネジメント 基本と原則 [ ピーター・ファーディナンド・ドラッカー ] 価格:2,200円 |
ずっとやりたかったことを、やりなさい。/ジュリア キャメロン
3冊目は表現者向けの「創造性」をトレーニングしてくれる本。
誰しも楽器を初めて触れた時、あるいは歌を歌い始めた時って、ドキドキして楽しい気持ちでしたよね。(例外もあるんだろうか…
それがいつしか大人になるにつれ、ステージに立ったりして「仕事」(ビジネスじゃなくてジョブの方)として意識し始めた頃から、周りの意見や責任に晒されてストレスに感じる事があったり、音楽に大してモチベーションが保てなくなる事も出てくるかと思います。
この本はそういった人たちに向けて、改めて
「自分はなぜ音楽が好きだったのか」
「自分はなぜ音楽から離れてしまっているのか」
という、自分自身の創造性の根幹と向き合わせてくれるヒントやトレーニングを提示してくれます。
所々スピリチュアルな部分に対して宗教観のある言葉が使われているのと、根拠になる背景の学問が明示されていないので人によっては嫌な胡散臭さを感じるかもしれません。
ただ、やっている事は心理学的な療法に近い事だったり、人間の学習行動に沿ったワークショップが書かれているので、あながち嘘を書いているわけでもありません。
内容がアーティスト向けに寄っているので、今現在モチベーションのコントロールに悩んでいなくても、メンタルトレーニングの入門書籍だと思って一度目を通しておくと、ふとした時に役立ってくれるでしょう。
ずっとやりたかったことを、やりなさい。新版 [ ジュリア・キャメロン ] 価格:1,430円 |
おわりに
「学生なんだし好きな事を追求しつつ、色々な情報を吸収できる絶好の期間だから本を読もう」
とは常に周りに言われていたんだけど、じゃあ「どういう本を読めば良いのか」とか「この本を読めばこういう知識が手に入るよ」っていう所までは誰も教えてくれなかったんよね。
勉強って思うと活字が苦痛に感じるけど、いざ読み始めると知識を付ける事の快感だったり物の見え方が変わるので、読書に時間を裂くのも意外と悪くないって思えるようになるはず。
この記事のレビューをみて興味が出たのであれば、ぜひ本屋さんで手にとって最初の1ページ目だけでも良いから目を通してみてください。