フレーズを弾いても上手く聞こえないとか、音がぶつ切りのようになるけど何が原因かわからなくて結局はただ同じ曲orフレーズを反復練習するだけとか、なかなか上達できていない気がすると言うような悩みをよく目にします。
TwitterやInstagramなどのSNSに演奏動画をあげて、コミュニティ内でアドバイスをもらっても結局何が正解かわからずじまい、なんて心当たりがある人もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
もちろん一人一人改善するべきところは違ったりしますが、共通点として「音価を意識できていない」と言うのが大きな要因のように見えます。
「音価」って聞いたことないけどなに?
まずウィキペディアを見てみましょうか
音価
音楽における音価とは、ある音(または休止)に与えられた楽譜上の時間の長さをいう。例えば、楽譜に2分音符が示されているならば、その音符の音の長さ、つまり2拍分が、その音符の音価といえる。
4分音符には4分音符の長さで、8分音符には8分音符の長さで弾きなさいっていうシンプルな事なんですが、言葉だと伝わりづらいかな?
言い換えると、音符が示しているのは鳴らし始めの発音の位置だけ守れば良いわけじゃなくて、音の終わるとこまで、切るとこまでがワンセットですよって事。
休符はただ単純に「弾かないとこ」じゃなくて「音は出さないけど演奏はしている記号」って事になります。伝わるだろうか…笑
ベーシストは特にこの音価の意識が大事なパートなんですね。
もっと端的に言ってしまえば「4分音符とか8分音符とかきちんと理解できているか?」という事。
音が消える瞬間を感じてみよう
実践的な練習に入る前に、まずは簡単な実験をして「音が消えた瞬間」と言うのを感じて…と言うか考えてみましょう。
なにも考えずにベースを一音だけ弾いてみて、ずーーーーーっと伸ばしてみてください。
音が鳴り止んだな、と思ったところでミュートします。
…どうでしょう、ベースのサスティンは思っていた以上に長く続くのに気づいていただけたでしょうか。
そして弦が振動している限りは楽器が鳴り続けていると言って差し支えないと思うんですが、減衰の最後の方、「音が鳴り止んだ瞬間」というのは明確には認識できないと思います。
つまり意図的にミュートしない限りは楽器は鳴り続けていると思ってください。
押さえてる左手が疲れる人はこちらの記事をどうぞ
音が短い=適正な長さを保つ前にミュートされている
何もしなければ、一度鳴らした楽器は基本的に鳴り続けていることはわかってもらえたでしょうか!
つまり音のオン/オフは全てプレーヤーの任意の元に行われるって事。
楽器自体に曲を演奏するのに十分なサスティンがある、でも音が伸びてないと言う事は、裏を返すと
1.正しい音価を理解していない
2.奏者が次の音(音符・休符どちらも)を弾くまでに意図せずミュートしてしまっている
のどちらか、ないしは両方って事になります。
①が理解できていて、②で行き詰まっているようであれば楽器のコントロールができていないだけなので話が早いんですが、たいていの場合は1,2共に当てはまる状態で、楽器の練習よりも音価の感覚を身につける事が先決かと思われます。
音価を意識する基礎練習
それでは具体的に練習に移っていきましょう!
最初は物凄いシンプルな練習
メトロノームに合わせて全音符を弾くだけ
です。
ただし、音を切る瞬間を強く意識しながら弾いてください。
え、全音符なのに音切るの?と思ったかもしれませんが、これが音価の意識を鍛えるのに大事なポイント。
次の音の入力(ピッキング)の直前は必ず音を切りながらも、最大限長くなるように弾きます。
実際の曲中では常にこうやって弾く訳ではありませんが、この感覚が有るか無いかで音価の意識が変わるんですよね。
なんとなく「1小節伸ばした音」ではなくて、「全音符を弾いているんだ」という感覚を養ってください。
こうやってやってみると全音符もきちっと演奏するのって結構難しいですよね。
普段は音の立ち上がり位置ばかりに気を取られて、リズムを点で捉えてしまっているって事なので、きちっと意識できるようになってくると演奏のクオリティがグッと上がります。
この練習はメトロノームの最低BPMでやるとより効果的です。(最初は速さを上げるより難しいはず)
え、今まで結構適当に弾いてた?そう、実は音価をコントロールするのは大変なんすよ…
でも低音の音価のコントロールをするのはベーシストの仕事だし、ベースが変わるだけでアンサンブルが生きも死にもするから、できるようになってくると楽しいですよ!
「このバンドかっこいいなぁ」=ベースがいい仕事してるって解釈で間違いない(盛り過ぎかw)から頑張ってモノにしましょう。
応用編:ドラマーの練習を取り入れてみよう!「チェンジアップ・ダウン」
別にドラマーだけの練習って訳でもないんですが、テンポキープの練習として必ずと言って良いほど取り上げられているので、チェンジアップ・ダウンはドラマーにとってはメジャーな単語でしょう。
とりわけベーシストは音価のコントロールも気にしなくてはいけないので、非常にいい練習になります。
もちろん他の楽器でも有用なトレーニングですよ!
バンドメンバー同士で交互にやってくと面白いかも。
上手くなりたい人は日常の練習メニューの中に積極的に取り入れて行きましょう!
読んで字のごとく、譜割を変えていく練習ですね。
一見シンプルですが、この練習を初見でクリックからブレずにこなせる人はそうそういないはず。できたらリズムおばけ、天才の部類だからこんな記事読んでないで自分の好きな曲を弾きまくれ。
上記の譜面は基本パターンのうちの一つで、慣れてきたら小節or一拍ごとの組み合わせを任意に切り替えて練習します。
注意点というか、みなさんおそらく連符の切り替わり時点で引っかかると思うんですが、これはもう慣れというか感覚を掴むしか無いかな…
僕自身がよく言われたのは
「1って3だと割り切れないから、偶数音符の時とは完全に違うスイッチでカウントしている」
とか
「『ワン・ツー・スリー・フォー』のカウントに慣れてるとどうしても4点あって四角がイメージに浮かびがちだから、3連符系は円運動をイメージするといい」
なんてアドバイスをもらってました。
慣れてきたら二拍三連も混ぜていきましょう。
おわりに
初めての人はチェンジアップ・ダウンが難しく感じたはず。
この記事に乗っている練習が頭ではわかっている(つまりは口で歌える)けど、楽器でやるとできない、というケースは単純に楽器のコントロールが身についていない可能性も高いでしょう。
他にも初心者向けのレッスン記事を公開しているので、独学で頑張っている方は一度フォームなど基礎部分から見直してみてはいかがでしょうか?